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2016年3月2日から4日にかけてCARTOON主催の第18回Cartoon Movieがフランスのリヨン市で開催されました。欧州のアニメーション映画業界の主要関係者が一堂に会して、欧州のアニメーション映画に特化したピッチング (映画企画のプレゼンテーション) が行われるイベントです。今年は、40カ国から750名以上の映画プロデューサー、投資家、配給会社やエージェンシーなどが参加し、 主催者の事前選考を通過した欧州19カ国56作品が発表を行い、欧州のアニメーション映画業界の文化的多様性や、豊富な作品の深みのあるストーリーに触れることが出来るイベントとなりました。

本イベントの最大の特徴は、全ての人に平等に企画実現に向けた商談の機会が開かれていることです。スタジオの大小や企画の進捗状況が応募や選考に影響しません。それぞれの企画は、進捗状況に応じて「構想段階」、「企画段階」、「制作中」、「完成済み」の4つのグループに分けられ、発表者は、 共同制作者、投資家・共同出資者、配給会社など企画の進捗状況に合った商談相手と面談出来ます 。他にも、クロスメディア展開を考えている発表者は、同時開催のCartoon Gameにてゲーム会社との商談機会を得ることが出来ます。

Cartoon Movieの歴史

1999年に第1回Cartoon Movieが開催されて以降、年々成長を続けて、現在では、欧州における長編アニメーション映画ビジネスにて、最も効率的にプロデューサー、投資関係者、そして配給関係者のシナジー効果が得られる傑出したイベントとして、Cartoon Movieは、その名声を確実なものとしています。

Animationweek編集部は、イベントを主催している非営利組織CARTOONのMarc Vandeweyer代表に、この素晴らしいピッチングイベントが如何にして生まれたのか伺いました。Vandeweyer氏によると、まず、1990年から開催しているTVシリーズの共同制作にフォーカスしたイベントであるCartoon Forumの成功、そして、成功裏に10年目を迎えようとしていたCartoon Forumと、ほぼ時を同じくして、フランス作品の「キリクと魔女」(1998年)とイタリア作品の「Lucky & Zorba」(1998年)が国際的な成功を収めたこと、欧州の長編アニメーション業界におけるこの2つの成功が、第1回Cartoon Movieの開催につながったそうです。

Cartoon Movieの強み

イベントの強みを伺うと、Vandeweyer氏はCartoon Movieが業界人のために特化してデザインされたイベントであることを挙げました。

「アニメーション制作は共同作業です。そして、私達が運営するCartoon Movieは、アニメーション関係者全員が一堂に会するだけでなく、効率面を考えてデザインされた、スピード感に溢れるピッチングイベントです。参加者は、プレゼンテーションを通して各プロジェクトを素早く評価し、興味がある企画について、プレゼン後すぐに商談をすることができます。」

また、Vandeweyer氏は、最初から配給会社などの関係者がプロジェクトに関わることで、よりスピィーディーな資金調達が可能になることもCartoon Movieの強みだと言います。

「Cartoon Movieが開催される以前は、ヨーロッパの長編アニメーション映画プロジェクトは、作品が完成してからプロデューサーと監督が『配給してくれないか』と配給会社を説得して回っていました。そして、例えば『作品の上映時間が配給するには長過ぎる』など、常に何かしらの問題が起きていました。でも、Cartoon Movieがある現在は、配給会社が企画に最初から関わり、彼らの知識を持ち寄り、映画の質を一緒に高めていくことが出来ています。その結果、ヨーロッパの長編アニメーション映画は、 世界中で更に多くの人達に見て貰えるようになりました。」

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Picture 1: 会場内の様子

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Picture 2: 会場内の様子

最近の動向

Cartoon Movieは、欧州アニメーション業界の現在と将来の動向を知るうえで最適なイベントの1つですが、2016年のCartoon Movieの特徴は、大人を対象にした作品の増加です。Cartoon Movieは、各ジャンルの作品数が可能な限り均等になるようにしていますが、今年発表された企画のうち33%が、10代から成人向け作品となりました。

それについて伺うと、「プロデューサーの皆さんがニッチな分野に挑戦しているのだと捉えています。私達は大人向け作品にも市場の受け皿はあると信じています。アニメーション作品でも、あらゆる題材や技術を話題にすることが出来る時代になったので、プロデューサーもやりたいことに挑戦できるようになったのだと思います。」とVandeweyer氏は答えました。 そして、これまでアニメーションでは扱わないであろうと考えられていた主題までもがアニメーションとして描かれるようになってきた例として、今年の発表の中から、実写とアニメーションを織り交ぜてアンゴラの少年兵を描く「Another Day of Life」を挙げました。

「非常に難しいテーマを扱った作品ですよね。実は、当初は作品の2/3を実写で、残りの1/3をアニメーションで描く予定だったそうなのです。ところが、アニメーションで描かれた映像の方が、実写パートよりも表現力があることを発見し、実写とアニメーションの配分 (割合) を全く逆にすることに決めたそうです。」

また、アニメーション作品が子供向けばかりではないことが、一般的に認識される必要性について触れました。

「こうした大人向けアニメーションが、しっかりと観客を獲得していくことが次のステップだと思います。」

他にも、実写映画のプロデューサーがアニメーション映画に進出することも、最近の傾向として顕著だと言います。

「実写映画で成功した著名なプロデューサーがアニメーションの制作に関わり始めています。リュック・ベッソン氏を始め、実写映画プロデューサーが毎年参加しています。」

新しい世代の育成

CARTOONの活動は常に進化し続けています。新しい試みの1つに、2015年11月に初めて開催されたCartoon Springboardがあります。Cartoon MovieやCartoon Forumのミニ版として企画された新人向けイベントで、Vandeweyer氏によると、Cartoon MovieやCartoon Forumに参加する1つ前のステップという位置付けとのことです。

「CARTOONはCartoon Springboardで新しい世代の育成にチャレンジしています。 参加条件はアニメーション学校を卒業してから最大5年以内。参加者は自身のプロジェクトを発表し、15から20人の専門家 (バイヤー、配給会社、ブロードキャスター、プロデューサー、クロスメディア会社) からアドバイスを貰うことが出来ます。参加者がエキスパートからのアドバイスを得ることで、自身のプロジェクトを改善し、Cartoon ForumやCartoon Movieに参加できるレベルに辿り着くことが、我々の狙いであり目標です。」

Vandeweyer氏はこう続けます。

「Cartoon Springboardは、若い世代に特化したイベントで、参加者である若いプロデューサー、監督、そしてアーティストは、お互いに学び合い、そして、人脈を広げることができます。最近の若手は、学校を卒業すると大きいスタジオへの就職だけを目的にアメリカに渡り、そのままスタジオの歯車の1つになってしまう傾向が強いです。そこで、私達は、彼らに自分自身の作品、映画、TVシリーズを制作していく機会をCartoon Springboardで提供しているのです。映像業界のアントレプレナーの育成が私達の目標です。」

また、CARTOONは、複数の学校に協力を仰いで、Cartoon Springboardにコーチングプログラムを用意したそうです。

「アニメーション学校だけではなく、ビジネススクールとも協力しています。両方の分野を繋げることで、例えば、『若い参加者が、彼ら自身の会社やスタジオを始められるようにサポートする。』そんなことが出来ればと期待しています。私達はヨーロッパの新しい世代の才能を発掘して育てて行きたいのです。」

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Picture 3: Cartoon Springboard 2015

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Picture 4: Cartoon Springboard 2015

ヨーロッパ国外のプロジェクトについて

Animationweek編集部は、Vandeweyer氏に、ヨーロッパ国外のプロデューサーは、このCartoon Movieという素晴らしい機会を、どのように活用できるのか聞いてみました。

「700人から1,000人という現在のイベントの規模は、私達が最も大切にしている参加者同士の円滑なコミュニケーションという点で、上限に達していると考えています。ですから、今後も参加対象地域をヨーロッパの外側には広げず、現在のイベント規模を維持して行きたいと思っています。」

ヨーロッパ国外の方々は、だからと言って諦めなくても大丈夫です。CARTOONは、きちんと代替案を用意してくれています。Vandeweyer氏は言います。

「私達は、もう1つ、Cartoon Connectionというイベントも運営していて、カナダと韓国の2カ国で開催しています。そして、プロデューサーの方は、Cartoon Connectionに参加して選ばれると、Cartoon MovieもしくはCartoon Forumでの企画発表機会が与えられます。これが、私達の用意した代替案です。」

Cartoon Connectionの更なる詳細については下記リンクをご参照下さい (英語です)。

Cartoon Connection アジア, 2016年5月2-5日, 韓国: http://cartoon-media.eu/cartoon-connection/connection-asia.htm

Cartoon Connection カナダ, 2016年10月24-27日, ケベック: http://cartoon-media.eu/cartoon-connection/connection-canada.htm

<Last updated: 17th March 2016>

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